不空羂索観音坐像 (正面)

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「むこうしの文化遺産」12 不空羂索観音坐像

資料名(ヨミ)「ムコウシノブンカイサン」12 フクウケンジャクカンノンザゾウ
解説向日市指定文化財 森本 泉福寺(せんぷくじ) 
寄木造(よせぎづくり) 玉眼(ぎょくがん) 素木像(しらきぞう) 像高 62.4㎝ 室町時代

 宝髻(ほうけい)を高く結い、宝冠を戴いた三目八臂(さんもくはっぴ)の坐像で、正面を向いて結跏趺坐する。手には羯磨杵(かつましょ)・剣・三叉戟(さんさげき)・羂索(けんじゃく)・水瓶(すいびょう)を持ち、また与願印(よがんいん)を結び、さらに胸中央で合掌する。各部材を直線状に矧ぎ、室町時代の特徴を表している。なおこの像は古くから三目観音(みつめかんのん)と呼ばれ、眼病に霊験があると信仰を集めて来た。
 泉福寺(せんぷくじ)は、現在浄土宗西山(せいざん)派に属し、粟生(あお)光明寺の末寺であるが、寺伝では延暦13年(794)の長岡京から平安京への遷都の時に、桓武天皇の勅願によって創建されたといい、春日社と関係があったとも伝える。三目八臂の不空羂索観音坐像は、興福寺南円堂の本尊として藤原氏の信仰深い像である。寺伝より制作年代ははるかに下がるが、本像がこの地に安置されるのには、南都と何らかの関係があったことが推測される。

(向日市文化資料館開館25周年記念特別展「むこうしの文化遺産―みぢかな歴史のモノがたり」図録より)
※平成21年(2009)10月31日発行

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