鶏冠井題目踊

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「むこうしの文化遺産」34 鶏冠井題目踊

資料名(ヨミ)「ムコウシノブンカイサン」34 カイデダイモクオドリ
解説京都府指定無形民俗文化財 鶏冠井題目踊保存会 2007.5.3撮影

  鎌倉時代の末、日蓮の孫弟子で、西日本へ日蓮宗を弘めるため上洛していた日像の布教により、一村をあげて改宗した鶏冠井村民が、尊い教えに帰依し歓喜踊躍(かんきようやく)したのがはじまりと伝えられる。
 太鼓のはやしと音頭によって、手甲・すげ笠姿の十数人が踊る。「序ひらき」に始まる13の曲があり、法華経の教義と信仰の勧めを説く内容で、扇や笠やを手に優美に踊る姿は、舞に近い趣きがあり、室町時代に流行した風流踊りをとりこんだものともいわれる。
 念仏踊りが各地に伝わるのに対し、音頭の切れ目ごとに「南無妙法蓮華経」のお題目が唱えられる題目踊りは、洛北の松ヶ崎・修学院と鶏冠井、全国で3ヵ所のみの特異な民俗芸能である。なかでも本尊に向かい位置を変えずに踊る鶏冠井は、輪になって踊る盆踊り形式の松ヶ崎などより古い様式を残すといわれている。
 昔は宗祖の遠忌法要などに、檀家の長男の少年のみが踊るものだった。戦後しばらくは踊る場もなくなり廃絶寸前となったが、昭和40年代に入って再興の気運が高まり、保存会が結成された。現在は、毎年5月3日、石塔寺の花まつりの日に、本堂において成人の信者によって上演されている。

(向日市文化資料館開館25周年記念特別展「むこうしの文化遺産―みぢかな歴史のモノがたり」図録より)
※平成21年(2009)10月31日発行

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