略歴・解説

1953年、静岡県下田市に生まれる。1977年東京藝術大学美術学部卒業。1979年、同大学院美術研究科修士課程修了。白井は、もの派が隆盛を誇っていた1960年代末から1970年代の美術界の空気を肌に感じながら、ものの直接的な提示によらない自身の表現を模索した。これまで、絵画や色彩、物質や身体等をテーマとした作品を制作している。代表的なシリーズに、「鏡のフロッタージュ」「フリージグソーパズル」「シャーベットのように」「版によるドローイング」「森のなかの花」等がある。
静岡の美術界では80年代に、「風景」展、（1986年、清水市文化会館）や「現代アートフェスティバル in 清水」（1987年、鈴与倉庫）等の企画が美術家らにより催され、世代を越えた交流が生まれていた。白井は、そうした流れにおいて重要な役割を果たし、制作のみならず、キュレーションも手がけるようになった。そうした活動には、「A-Value」展（1988-1995年、全8回）、「めぐるりアート静岡」（2014-2020年、全8回）等の企画がある。「A-Value」展を含む80年代の静岡の美術界の状況については、静岡市美術館での「Shizubi Project7 アーカイヴ／1980年代―静岡」（2019年）において多くの資料により紹介されている。
展覧会歴には、上記のほか、「鏡のフロッタージュ」（1980年、神奈川県民ホールギャラリー）、「ペーパー・アート／ジャパン」（ギャラリー・アンドレアス・ヴァイス／ベルリン、他）「県内美術の現況展Ⅰ」（1988年、静岡県立美術館）、「白井嘉尚　シャーベットのように、そして森の中へ」（2018-2019年、掛川市二の丸美術館）等がある。