花器
| タイトル(よみ) | かき |
|---|---|
| 作家 | ブランチェ Brantjes |
| 窯名 | ブランチェ |
| 制作年 | 1898年 |
| 寸法 | 37.0×31.5×35.5cm |
| 員数 | 1 |
| 解説 | アール・ヌーヴォーについて述べるとき日本の影響が声高に語られるが、オランダのアール・ヌーヴォーは中近東の影響も受けている。そのため他国のそれと異なり、非対称のパーツから成る対称的に構成された全体像を形成している。またそれは、線的で植物的で幾何学的でもあり、それらが見事に融合したデザインが装飾の特長として挙げられる。このような装飾は、当時流行していた植物図鑑や外国雑誌から導き出されたものも多かったようである。 ブランチェの花瓶は、焼成した際白色化する、おそらくイギリスの粘土が使用されている。成型法は鋳込みで、この方法により、基本型に変化をもたせたヴァリエーション豊かな作品が製作されていた。製品の模様は手描きで、その装飾は4種類ある。デルフトブルーの模倣、ヴィヴィッドな色彩の装飾、風景を主題としたもの、クリーム色の背景に網状の線文様が描かれたもの、である。また、形態は概して伝統的であり、ときにローゼンブルフを模倣し、古典的な中国磁器の形態を踏襲している。 本作品は、ブランチェの特徴的な花瓶である。基本となる胴体部に、両把手がとりつけられ、独特の形態を作り出している。また装飾も、大変鮮やかで強い、緑を中心とした色彩が用いられており、中近東の刺激が感じられ、オランダ特有のアール・ヌーヴォーを見事に体現した作品である。 |