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スピーカー 

タイトル(よみ)すぴーかー
作家熊倉順吉 Kumakura Junkichi
制作年1970年代後半
員数2
解説 熊倉は一時モダンアート協会に属し、また走泥社同人となって活躍するなど、早くから「前衛の旗手」として認知された陶芸家である。陶芸を志して以来、熊倉は器物制作にいそしみ、絵付けによって新しい陶芸を作り出そうとした。しかし彼の関心はやがて形に向かい、彫刻的な作品制作の時期を経て、土の塊としての性格が強く表現された作品、肉体の部分を形取った作品、ジャズをテーマとした作品、金彩を特殊処理した作品と多彩に作品を展開していく。  本作品はジャズをテーマとする作品に属すものであり、実際のスピーカーを内蔵する一対作品である。全体に瑠璃釉がかり、何本もの指に取り囲まれた左右各スピーカーの正面中央には、金彩の施された口唇がつきだす。左右のスピーカーのボックスは基本的に同じ造形をし、上面には大きな指輪をはめた左手が置かれている。その手首はスピーカーのボックス背面にまわり、手首の断面は各ボックスで左右それぞれの耳に形を変えている。
 ジャズに傾倒した熊倉はジャズをテーマに幾つもの作品を作り上げているが、本作品では造形だけでなく、実際にスピーカーとしての機能を与え、現実の音によってジャズというテーマをより具体化してそのジャズへの想いを結実させている。

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