痕跡からの結晶-today'sdiary-
タイトル(よみ) | こんせきからのけっしょう-とぅでいず だいありー- |
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作家 | 小塩 薫 Ojio Kaoru |
制作年 | 1999年 |
寸法 | 17.5×26.0×24.0cm |
員数 | 1 |
解説 | 小塩は靴や帽子などの女性にとって身近なモチーフを題材にして、磁器という素材の力を探りながら制作を行っている。 絵を描くのが好き、という気持ちで京都市立芸術大学に入学した小塩が陶芸を選んだ動機は、「やきものはどうやってつくるのか」という素朴な疑問にあった。 小塩は本作品を石膏による鋳込みで制作している。粘土で作った原形で石膏型をとり、その型に磁土を薄く鋳込むことで、ごく薄い帽子が抜きあがる。その上に和紙の型紙を当て、まわりに筆で泥しょうを塗り重ねていくことで、磁器の厚みに変化ができる。結果、灯りをともしたときにその磁土を透かしてみえる光に表情が生まれてくる。さらにはカッター、やすりで絵が加えられる。 本作品では素焼き後、部分的に染付を加え、1230度の還元炎で焼成している。 学び、体験したこと全てが「痕跡」であり、その「結晶」としてあるものが作品だという気持ちでタイトルをつけているが、小塩にとっては生み出した作品全てが「結晶」という気持ちがあるという。 鋳込型の原形を作るとき、本作品では轆轤上に立ち上げた粘土の塊をそのまま利用している。この発想は、実際の帽子の制作にも轆轤が利用されると聞いたことがヒントになっている。 帽子に貼り付けられた四角い磁片には「Thinking hat」という文字が刻まれ、ここには、その日一日の「結晶」を思案中、というイメージが込められている。女性らしいモチーフを無垢の磁器の質感で見せる本作品には、みずみずしい感覚があふれている。 |