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痕跡からの結晶-泡の靴
タイトル(よみ) | こんせきからのけっしょう-あわのくつ |
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作家 | 小塩 薫 Ojio Kaoru |
制作年 | 1994年 |
員数 | 2 |
解説 | 小塩は靴や帽子、かばんなどの女性にとって身近なモチーフを題材にして、磁器という素材がもつ力を探りながら制作を行っている。 絵を描くのが好き、という気持ちで京都市立芸術大学に入学した小塩が陶芸を選んだ動機は、「やきものはどうやってつくるのか」という素朴な疑問からであった。 小塩は本作品を石膏を用いた鋳込みによって制作している。粘土で原形をつくり石膏型を作る。その型に磁土を薄く鋳込む。そして磁土を排泥すると、ごく薄い靴が抜きあがるのである。そこに和紙の型紙をあて、まわりに筆で泥しょうを塗り重ねていくことで、磁器の厚みに変化ができ、灯りをともした時にその磁土を透かしてみえる光に表情が生まれる。さらにはカッター、やすりを用いて絵をが加えられる。本作品では素焼き後、部分的に染付を加え、1230度の還元炎で焼成している。 本作品においては、小塩がこれまでに学んできたこと、体験してきたこと全てが「痕跡」であり、その「結晶」が作品であるという気持ちでタイトルがつけられている。また靴のなかに下がる突起のあるボールは、彼女の「結晶」というものに対するイメージそのものなのだという。 小塩は京都市芸術大学制作展に5点の靴の作品を出品し、市長賞を受賞している。そのうちの3点が買い上げとなり大学の芸術資料館に収蔵されているが、本作品は残り2点のうちの一つである。女性らしいモチーフを無垢の磁器の質感で見せる本作品には、みずみずしい感覚があふれている。 |