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タイトル(よみ)きょく
作家八木一夫 Yagi Kazuo
制作年1964年
寸法33.5×28.0×13.5cm
員数1
解説 1918年陶芸家八木一 艸の長男として京都市馬町に生まれた八木一夫は、京都市立美術工芸学校彫刻科卒業後、青年作陶家集団創立に参加する。1948年に同会が解散した後、鈴木治、山田光らと走泥社を結成した彼は、戦後日本の陶芸界において前衛陶芸のパイオニアとしての役割を果たした。初期は、西洋近代絵画への強い関心から、近代絵画の特質を取り入れた器物の制作に取り組むが、次第に抽象形体へと移行し、ついには陶磁器の実用性を否定したオブジェの制作に至る。1954年の個展出品作「ザムザ氏の散歩」は、オブジェとして自立した最初の陶芸作品としてよく知られる。 
 本作品「曲」は、1964年の第27回走泥社展に出品された一連の皺寄手の黒陶作品のうちの一点である。八木は、轆轤成形によるパイプを構成したオブジェ作品から、手びねりで薄く立ち上げた無釉焼締による表現を経て、1963年からいわゆる皺寄手による特異な有機的表情を持つ作品群を生み出す。それらははじめ焼締であったが、やがて黒陶による皺寄手のオブジェへと展開して、全く新しい陶表現の領域を開示することとなった。1964年は、八木が自ら拓いた美の領域に決然と分け入った時期であり、陶芸史上、特筆すべき作品が多数誕生することとなった年である。

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