三角形鉢
タイトル(よみ) | さんかくけいはち |
---|---|
作家 | ファンス・フランク Fance Franck |
制作年 | 1990年 |
寸法 | 10.8×44.5×44.5cm |
員数 | 1 |
解説 | ファンス・フランクは故国アメリカとフランスで三つの大学に学んでいる。ヒューストンのライス大学で文学と哲学と美術史、パリのソルボンヌ大学でフランス文学と哲学、アメリカのハーバード大学でフランスおよびイギリスの現代詩を学んだ。 ファンスは陶芸を1955年ニューヨークで始めた。アメリカ・インディアンの陶器に魅せられたのがきっかけという。その時分には、同じアパートの中にジャスパー・ジョーンズやラウシェンバーグ、マース・カニンガムといった当時の前衛的な画家や舞踏家がいて、そういう作家たちと一時期をともに過ごしたようである。そのような環境に身を置きながら、制作がオブジェへ向かわなかったことについては、自分は知的運動として作品をつくるものではないとの答えが返る。そしてやきものと彫刻では、思想性のありどころが全く違うと考える。 バーナード・リーチと濱田庄司の作品に関心を深めたというが、彼女の作る作品は全く違う。それは彼女にとってのやきものの魅力というものが、手に触ったときのフィジカル・エキサイトメント(身体的昂奮)にあるためである。ファンスが濱田とリーチの仕事に共感するのは、この二人の作家は陶芸制作を通じて、人間的な豊かな個性を、精神の迫力により示していると思うからであった。 1960年より仏陶芸家フランシーヌ・デルピエールに師事し、ボナパルト通りにアトリエを開く。中国をたびたび訪れて研究者と議論を重ね、独自の紅釉磁も生み出した。東洋の心を知りたいためにやきものを作るという彼女の作品は、東洋に学び、そしてかつて詩や哲学を求めた彼女の静かで豊かな陶芸の世界を築いている。本作品にもそれが穏やかさとして溢れている。 |