立体志向の作品・緑彩
タイトル(よみ) | りったいしこうのさくひん・りょくさい |
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作家 | 加藤幸兵衛 Kato Kobei Ⅶ |
制作年 | 1991年 |
寸法 | 64.0×65.0×36.0cm |
員数 | 1 |
解説 | 人間国宝加藤卓男氏の長男として生まれる。京都市立美術大学では近藤悠三・清水九兵衛に師事。卒業と同時に朝日陶芸展で最高賞を受賞。翌年に日展特選、日本現代工芸展、中日国際陶芸展など数々の賞を受賞している。1804年(文化初年)開窯された幸兵衛窯の跡取りに生まれながらも、伝統的な傾向ではない抽象的な作品から出発した。釉薬の可能性を追求できる恵まれた環境に生まれたが、初期には白と黒の禁欲的な世界で、既存の美にとらわれない抽象的な形態の作品を発表する。 本作品は大胆な幾何学的形態の組み合わせでありながらも冷たさを感じさせることはない。定規をあてたり、削ったりして形を整えることをせず、また表面もペーパー等で指跡を消したりして仕上げることはない。その結果、土はそれを記憶し作品はやせることなく焼き上がる。作品のもつ丁寧な落ち着きある印象と土の優しい肌合いは、粘り気のない馬籠の土を丁寧に積み上げてきた結果であろう。土をかたちに閉じこめるのではなく、積み重なってできたかたち。作家の手ひねりによる抑制されたこだわりが看取される。 |