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染付上絵桐鳳凰文透彫大香炉
タイトル(よみ) | そめつけうわえきりほうおうもんすかしぼりおおこうろ |
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作家 | 精磁会社 Seiji-Kaisha |
窯名 | 精磁会社 |
制作年 | 明治時代前期 |
寸法 | 72.0×61.0×61.0cm |
員数 | 1 |
解説 | 堂々とした形に豪華絢爛な装飾が施された大香炉。精磁会社によって製作された本作品は、明治時代に日本から海外へ輸出され、近年里帰りした作品である。開国後、明治政府が殖産興業政策を掲げると、陶磁器を中心とする美術工芸品は、輸出の最重要品目として盛んに海外へと輸出される。そして日本の国力を諸外国に見せつけ、一方では最新の技術を調査するために、積極的な万国博覧会への参加が続けられた。このような時流のなかで、精磁会社は最高の技術陣による最高水準の製品をめざし、明治12年に有田の香蘭社から分離独立して設立される。精磁会社ではフランスのリモージュから最新式の製陶機を購入し、設備の近代化によって大量生産に乗り出すが、結果的にその機械の運用に失敗。そのコストを度外視した精巧無比な技術の製品化と実利的な経営の両立は、次第に困難になっていく。さらに内外の不景気に加えて、設立メンバーの辻勝蔵の退社、深海墨之助、川原忠次郎の死去と、相次いで会社首脳陣を失い、精磁会社は解散へと向かう。その最盛期は短く、明治12年から22年の僅か10年間と考えられている。なお精磁会社は、一品製作にも精力的に取り組み、明治16年のアムステルダム万国博覧会と明治20年のスペイン万国博覧会では金牌を受賞している。 本作品はわずかに知られる精磁会社の作品のなかでも大型であるが、透彫や作品全体に描きこまれた吉祥文様は非常に細密であり、そこには当時の技術者たちの意気込みが感じられる。作品底部には「大日本肥前國有田精磁會社製之」の銘がはいる。 |