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SG-881

作家井上雅之 Inoue Masayuki
制作年1988年(昭和63)
寸法72.0×340.0×90.0cm
解説 井上雅之は、80年代の陶芸表現の多様化を象徴する新人作家として注目されて以来、さまざまな制作手法を大胆に試みてきた。また井上はそのことによって、しばしば批評の俎上にのり、なお論理的関心の対象でありつづけている。
 当初井上は、陶の断片をランダムに再構成する作品で知られた。それはハイブリッド(混成的)な性格をもち、脈絡はなく、中心もなく、多様性と分極性に特徴づけられるもので、「80年代のクレイワーク」の一つの傾向を代表するものであった。井上はまた金網にセラミックファイバーを塗りつけ、その表面をバーナーであぶる大型作品を発表したり、ひもづくりによる大型の器作品を発表したりと、きわめて柔軟な造形思考を次々と試みてきた。そしてそのアイロニカルで柔軟な試行は、しばしば陶芸の基本的な素材観やプロセスを対象化してきたために、なおポレミックな作家であり続けているのである。本作品は、井上が断片を再構成し大型作品に挑んでいた時代の代表的な作例の一つであり、80年代の陶芸表現の多様化を代表するものである。

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