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クリンクル・シリーズ「スーパーバッグ1997」

作家小松誠 Komatsu Makoto
窯名セラミックジャパン
制作年1997年
寸法22.0×15.0×15.0cm
員数1
解説 小松誠は、クラフト作家としての制作基盤を保ちながら、量産システム自体を道具として自己のアイデアを社会的に実現することを目指してきた作家である。石膏型による鋳込みで制作された作品は、小松自身の手により、あるいは小松と企業との共同作業により量産され人々の生活の中に入り込んでゆく。
陶磁器は焼成により歪みが生じやすい素材であるため、量産品としてデザインする場合に制約が多くなる。しかし小松は、あくまでも素材の性質を生かす立場から「陶磁器は歪んだかたちに適している」と発想した。また鋳込みという技法自体の本質である「転写」をそのままデザインに生かし、紙やビニールなどの「はかない」皺を陶磁器の永遠の造形に転写した。このようにしてクリンクルシリーズは、日常の器であると同時に新しい美感を備えた視覚触覚の対象物として、人々に直に新たな感覚と価値を提案するものとして生み出された。とりわけクリンクルシリーズの代名詞ともいえる皺の入った紙袋「スーパーバッグ1978」と、その前身である「タンブラーJ」、さらにその後の十年毎の展開を端的に顕わす「スーパーバッグ1988」と「スーパーバッグ1997」は、一連のシリーズの流れを如実に示す作品である。
 本作品「スーパーバッグ1997」は、過去20年間のシリーズの歩みの中で、小松がもっとも深く激しい皺を入れた作品である。本作品に関して小松は全生産工程を自らの手を通して行うこととし、50点の限定生産とした。量産の必須条件である生産効率を度外視し、自らの造形思考に忠実に制作するという作家としての原点に立ち戻った取り組みである。
 本作品において、クリンクルシリーズ20年を経た小松誠の新たな自己表明をみることができる。

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