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木の実に蜻蛉図皿

作家エミール・ガレ Emile Galle
制作年1880年代後半
寸法2.5×24.0×24.0cm
員数1
解説 ガレはナンシー派の中心的存在であり、フランスのアール・ヌーボー運動の一翼を担った工芸家である。自工房においてガラスから具まで総合的にデザインし、プロデュースした彼は、陶磁器においても重要な仕事を残している。
 本作品は、ロココ・リバイバルからジャポニズム、そしてガレ独自の象徴主義的な装飾世界を確立するに至る過程で表れた作品である。自然からのモチーフを我がものとして文様化するガレの装飾思考を端的に示している。植物(木の実)と生物(蜻蛉)というモチーフの選択と独創的な構図から見てジャポニズムの影響が色濃いが、すでにこのときガレは生来の自然主義の土壌の上で、ジャポニズムを独自の表現に昇華しつつあることが見て取れる。1880年から84年までの期間、ガレは陶器と釉薬の研究を積むが、本作品における黒のエナメルの使用と上絵の金彩はガレの研究成果とみることができよう。何層にも彩色され、自然界の神秘的な輝きが丹念に陶に定着されてる。
 また本作品において、アール・ヌーボー運動の19世紀的精神の擁護者であると同時に、設備と有能な職人を揃えて量産体制を整え、産業の育成による芸術の大衆化を目指したガレの功績を窺い知ることができる。

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