志野大皿

タイトル(よみ)しのおおざら
作家鈴木藏 Suzuki Osamu
制作年2004年
寸法14.0×59.0×35.0cm
員数1
解説釉薬研究の第一人者であった製陶技師の父のもとで助手を務め、やきものの道に入ったのが50年代半ばであったが、当時は陶芸家を志していたわけではなかった。24歳の時に現代日本陶芸展で受賞して以来、さまざまな賞を9年連続して受賞し、10年目の日本陶磁協会賞受賞によって作家として立つことを決めたのだという。こうした受賞歴の背景には父からの影響にもよる技術的・科学的な研鑽があり、それは今日まで一貫したものである。釉薬の厳密な計量、調合、志野釉だけで一万点に及ぶテストピース、石炭窯に始まり、重油窯、ガス窯という試行を重ねている。ガス窯に至ったのは60年代のことだというが、現在のものは6基目を数えている。現代志野の代表として藏志野と愛称される作品は、こうした研究と努力によって生みだされているのである。その作品はいずれも鮮やかに発色し、しばしば垂直に立ち上がる力強い形態によって特徴づけられる。
本作品はこれまでの箆による削りや突起物のつけられたデザイン性に富んだものとは異なり、器面いっぱいに力強い太い線が引かれている。荒々しい躍動感のある迫力は志野による制作に真摯に挑みつづける鈴木の息遣いが感じられる作品である。

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