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灰釉大鉢

タイトル(よみ)はいゆうおおばち
作家加守田章二 Kamoda Shoji
制作年1966年頃
寸法21.3×36.8×36.8cm
員数1
解説加守田章二の生涯は49年間という短いものであったが、その二十数年間の制作活動のなかで、彼の旺盛な制作意欲は多彩な作風となって現れ、独創的魅力に満ちた仕事の数々を残した。60年代半ばにかけて完成した須恵器風灰釉作品に続き、土器風本焼作品や銀彩陶器が制作されるようになり、この土器風本焼作品により加守田は陶芸界で初めて高村光太郎賞を受賞。その後も曲線彫文、彩陶、彩釉へと作風を展開していく。このような加守田の仕事は、彼の師事した富本憲吉が提唱する創作的な陶芸の教えを受け継ぐものであり、多様な変貌を重ねながら、彼独自の陶芸を出現させてきた。1965年および翌66年は、穴窯による須恵器風作品の完成期といわれる。器面を流れる青緑の灰釉は、鋭い口造りをもつその硬質な造形に清々しい潤いを与え、輪郭の美しさをさらに引き立てる。ここに至って加守田は、轆轤と自然釉の到達点に達する。
 本作品はその須恵器風作品の完成度を見事にみせる作品となっている。端正に薄く立ち上がった鉢には、硬質で鋭い緊張感が充ち満ちている。加守田はこの須恵器風灰釉作品を皮切りに次々と新たな作風への展開を開始させる。本作品は、そのスタート地点となる作風を示すものである。

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