皿「白い月」
タイトル(よみ) | さら「しろいつき」 |
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作品名(原題) | Dish ‘WHITE MOON’ |
作家 | カティ・トゥオミネン=ニイットゥラ Kati Tuominen-Niittyla |
制作年 | 2002年(1995年デザイン) |
寸法 | 5.0×54.5×54.5 |
員数 | 1 |
解説 | フィンランドの近代陶芸は、イギリスのウィリアム・モリスの思想を引き継ぐアルフレッド・ウィリアム・フィンチによって方向付けられた。さらにアラビア製陶所がアート・ディレクターとして1932年にクルト・エクホルムを迎えるに至り、工場での作家の制作活動の態勢がアート・デパートメントの創設によって整えられた。こうして量産向けのデザインと個人作家的一品制作を両立させるこの国の陶芸家のスタイルが確立することとなった。 カティ・トゥオミネン=ニイットゥラは、1980年アラビア製陶所に所属して以来、同社の製品デザインを手がけながら、個人作家としてこの国を代表する地位を確立した作家である。本作品は、1998年国際陶磁器展美濃デザイン部門にてグランプリを受賞したプロトタイプ(800度で焼成/ストーンウェア)を基に、4年後に作家自身が施釉して1260度で本焼きした作品である。本作品のプロトタイプを制作したのは1995年のことであった。当時、彼女は所属するアート・デパートメントのアーティストのデザインによる限定制作シリーズ“Pro Arte Collection”のために想を練っていた。元来、伝統的な大皿に魅力を感じていた彼女は、大皿の現代的表現を模索していた。また一貫して彼女は、シンプルであり、なおかつ機能性があることを作品に求めている。そこで行き着いたのが「ひとつのアクセント以外何もない平面」であったという。すなわち、角度と光によって互いに強調し合う満月と新月のような存在である。皿として実際に使用でき、また壁面に掛けることもできるもの-このコンセプトは、アラビア社の仕事においてではなく、国際陶磁器展美濃への出品というかたちで世に問われることとなった。 本作品は、それ自体が優れたデザイン提案であると同時に、プロダクト・デザインに向かう作家の制作姿勢とプロセスを示す貴重な資料である。 |