嘉数 赤嶺 ウシ(南部避難) 1 全文

ID1170631
種類記録
大項目証言記録
中項目戦争
小項目住民
細項目南部避難
資料名(別名)嘉数_赤嶺 ウシ_「長女即死、捨てた乳飲み子」_1_全文
資料内容「米軍が首里まで攻めて来たので、避難した方がいい」という話が嘉数周辺では広まっていた。6月1日、私達の家族は南へ避難した。その日は平良・高嶺へ立ち寄ったが、アメリカ軍の攻撃は激しくなっていた。ここで、夫は砲弾の破片を頭に受けた。破片は頭に突き刺さり、「でえーじなとーしが」と手で破片を掴み、抜こうとしてもなかなか抜く事が出来なかったので、近くの軍の野戦病院に行って取ってもらった。幸いけがは大事に至らず、歩く事も出来た。平良・高嶺では親戚の壕に一泊した後、私達は知念・玉城をめざした。避難の途中知念・玉城の方も危険だということで、多くの人達が引き返してくるのを見たので、私達はそこへ行くのをやめた。

 糸満の与座川の近くに大きな瓦葺きの家があって、その家には多くの避難者が身を寄せていた。私達の家族もその家に入らさせてもらったが、近くに艦砲弾が落ち、その破片が長女の足に当たり血がタラタラ流れていた。「もうどうしようもない、沖縄は玉砕だ、部落へ帰ろう」と夫が言うので、地元嘉数へ向け引き返した。やっと字高安の所まで来たとき、アメリカ兵の待ち伏せにあい、銃弾の標的になった。パン!パン!、パン!の銃声と同時に1発の弾が長女と私を直撃した。弾は長女の頭を貫通し、さらに私の肩までも貫通した。長女はその場に倒れた。即死だった。私は肩のヒラゲー骨(肩胛骨)が砕けていた。砕けた骨のかけら数片が肩の中に残っていたので、その後化膿し、膿がピリピリ出て苦しんだ。乳飲み子の末妹をおぶっていた長女は弾で倒れ、私は大ケガして私達の家族は絶望的な気持ちになった。乳飲み子と4歳児をかかえてどうしていいのか分からなくなった。どうせ皆死ぬんだから、否!むしろ死ねる日が来るのを願う思いの方が強かったので、乳飲み子を置き去りにしたまま私達は嘉数のウフガーの下の方にあった壕に向かった。

 壕に着くと、そこには負傷した日本兵がいて、「水くれ、水くれ」としきりにせがんだ。水をやるとしばらくしてその兵隊は死んだ。その様子を見ていた夫は、自分の子供のことを思いだし「生きている自分の子供を見殺しにはできない」と子供を放置した場所につれもどしに行った。ところが、夫の話によると、その末娘は置き去りにした場所にはいなかったと言う。辺りを探していると、近くのカンダ葉の畑の中からしくしくとすすり泣く声が聞こえたので、近づいてみると泣き疲れてぐったりしている末娘がいた。1歳にもならないこの子ははってここまで移動したらしい。夫はその末娘をしっかり抱きかかえ、照明弾を避けるよう腹這いをくりかえしながらようやく私達のいる壕に戻って来た。

 その後、1人のアメリカ兵がガムを噛みながら私達の壕に近づいて来た。このアメリカ兵は私達を確認したがなにも言わずに去っていった。私は黙ったままだった。だがしばらくして、このアメリカ兵は通訳を引き連れて又やって来た。「おばさん、どこをケガしているの?」と通訳が聞くので、私は「もう大変だ、助からないので撃ってくれ」と言うと「治療すれば大丈夫」と言って私を担架で運ばせた。壕を出ると傷口を消毒してくれた。ケガしている子供達は日本軍の脚胖を包帯替わりにしていたので新しい包帯と取り替えてくれた。乳飲み子の末娘はアメリカ兵が与えてくれたミルクを飲んで元気を取り戻した。

 私は捕虜となり、ケガのため軍病院へ入院となったため、家族や親族と別れ別れになった。入院中も屋冨祖、野嵩と移動があり、その後も数回移動があった。移動は大変だったので死んだ方が言いと思ったぐらいだった。最後に入院したのが宜野座の病院だったが、親戚と一緒にこの病院から逃げ出し、歩いて惣慶・漢那の収容所まで行き、家族と一緒になった。夫が衛生班長として軍に働いていたので、軍の毛布や服を戦果品としてあげていた。これをタウチーや山羊、うさぎと交換したりして食料には不自由しなかった。惣慶・漢那には長期間いたが、いざ自分の集落へ帰れる事になった時には大変嬉しかった。

(1996年9月聞き取り)
キーワード一般住民体験談、野戦病院
総体1豊見城村史_第06巻_戦争編_証言
総体2
総体3
出典1豊見城村史 第6巻 戦争編 pp.791-793
出典1リンクhttps://www.city.tomigusuku.lg.jp/kanko_bunka_sports/rekishi_bunkazai/2/1/3254.html
出典2
出典2リンク
出典3
出典3リンク
国名日本
都道府県名沖縄県
市町村豊見城市
嘉数
市町村2
字2
時代・時期近代_昭和_戦前
近代_昭和_戦中
昭和_戦後_復帰前
年月日(始)
年月日(終)
年代(西暦)
年月日(和暦)(終)
年月日(和暦)(始)
年代(和暦)
始期(年・西暦)
始期(年・和暦)
始期(月)
始期(日)
終期(年・西暦)
終期(年・和暦)
終期(月)
終期(日)
収納分類16行政委員会
収納分類36010606市史編集
収納分類26_01教育委員会_06文化課
収納分類4豊見城村史第6巻戦争編

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