イナムドゥチ

写真提供先:沖縄県文化振興課

トゥシビー(生年祝)

大分類5章 行事と食
中分類風俗習慣(人生儀礼)
解説沖縄では、自分の生まれた年と同じ十二支の年を生まれ年といい、その年の正月初めの同じ十二支の日に、無病息災を祖先や火の神に願い、祝宴を開きます。トゥシビーでは、小豆御飯(アカマーミーメー)または豚肉入りの雑炊・イナムドゥチ・昆布炒め(くーぶいりちー)・砂糖煮豆・砂糖田芋(サーターダーンム)・御菜(ウセー・大根又はほうれん草のおひたし)・ドゥルワカシ・お茶受けの七品を食べました。。お茶受けは、芋糟納豆(ウムカシナットウ)やクバンアーギー(カタヒラウンブー:小麦粉をねって塩味のてんぷらにするとき、片方を卵大にし、他方を羽状に薄く延ばした形に揚げたもの)などです。戦後は芋を常食にしなかったため、芋くず(ウムクジ)(甘藷の澱粉)・芋糟(澱粉のしぼりかす)が出回らず、芋糟納豆を作らなくなりました。
 首里では数え13のトゥシビーになると、赤御飯(または豚肉の入った雑炊)・イナムドウチ(またはそうめんの御汁)・炒め物・砂糖煮の豆・クバンと砂糖アーギー(黒砂糖で味付けした丸いてんぷら)・お茶受けが準備されました。お茶受けはカステラ・かまぼこ・野菜の揚げ物(牛蒡やさや豆をくるんだてんぷら)・豚肉(棒肉と三枚肉を砂糖醤油で煮しめたもの)・ハナイカ・寒天などでした。
 戦前は61歳の祝いから盛大に行い、首里では年の合う寺に参詣してお茶の子(ウチャヌク)・花米(はなぐみ)・御酒(うじゃき)を供えました。73歳からは毎年生まれ年の日に小宴を開きました(マドゥトゥシビー)。その際には吸い物や暖鍋(ヌンクー:大根・揚げ豆腐・さいの目切りにした豚肉、エンドウ豆を醤油で味付けした汁)が出る程度だけでしたが、1960年代に入り派手に祝われるようになりました。
97歳の祝いはカジマヤーと呼ばれ、旧暦9月7日に行うのが慣わしとされています。今では最高の長寿祝いとして集落を挙げて盛大に催されます。首里・那覇ではヤマモモの塩漬とルクジューを加えた祝い膳が出されていました。

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