沢村百之助の佐賀おとよの方(佐賀県)

法量(幅)㎜504
法量(高さ)㎜358
公開解説 描かれているのは明治13年(1880)に市村座で上演された「嵯峨奥妖猫奇談」の登場人物で、沢村百之助演じるおとよの方(役名はおさよ)である。おとよは、二代佐賀藩主鍋島光茂をモデルとした浪嶋太守の愛妾で、太守に怨念を抱く妖猫に食い殺されてとって変わられてしまう。この演目のように、妖猫によるたたりの物語は御家騒動とからめて、人形浄瑠璃や歌舞伎などで多く劇化された。佐賀藩鍋島家の御家騒動を題材にした「鍋島の猫」は、嘉永6年(1853)に歌舞伎化されたが、佐賀藩の強い抗議により上演されなかったという。
 押絵のおとよを見ると、衣裳部分には上絵で花柄が描かれている。上絵とは、出来上がった押絵の着物や帯、持ち物などに柄を描く技法であり、勝文斎の絵師としての技術も発揮された作品となっている。

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