尾上多賀之丞の八重垣姫(長野県)

法量(幅)㎜504
法量(高さ)㎜358
公開解説 押絵の題材となった「本朝廿四孝」は武田信玄と上杉謙信(役名は長尾謙信)の争いをもとにした物語である。和睦のために謙信の息女・八重垣姫と信玄の一子・勝頼は許嫁となるが、勝頼が切腹したため縁談は頓挫してしまう。勝頼を慕っていた姫は、その肖像の前で毎日十種香を焚き、回向している。しかし、実は勝頼は生きていて、花作りの蓑作に身をやつし、姫の屋敷に住みこんでいた。それを知った謙信は勝頼の暗殺を企み、勝頼扮する蓑作に塩尻に向かうよう命じる。姫は勝頼に危険を知らせたいとの想いで、奥庭に祀ってある諏訪法性の兜に祈った。すると、神の使いの白狐が姫に乗り移り、氷の張った諏訪湖を勝頼のもとへと渡っていく。
 押絵に描かれたのはこの「奥庭狐火」の場面だろう。二代目尾上多賀之丞演じる八重垣姫からは、一心に勝頼を思う愛らしさがにじみ出ている。
 はめ込み絵は柴田是真の「田毎の月」。古くからの月の名所として著名であった姨捨の棚田(現・長野県千曲市)に映る月が描かれている。

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