尾上多賀之丞の那須野狐(栃木県)

法量(幅)㎜504
法量(高さ)㎜358
公開解説 二代目尾上多賀之丞が演じている那須野狐は、天竺・唐・日本の三国を股にかけ、美女に化けては非道を繰り返す白面金毛九尾の狐。この狐は、玉藻前と名を改めて宮中にはいった右大臣藤原道春の娘・初花姫を殺してその姿を借り、摂政・薄雲王子と魔道の契りを結んで非道の殺生を繰り返す。しかし、陰陽師・安倍泰成の祈祷で正体をあらわし、下野国那須野ヶ原へ逃げ込むが退治され、近づいた生きものを殺す殺生石となって人々を悩ませる。
 那須野狐が手にしている檜扇には松竹梅が描かれ、押絵の細部まで凝ったつくりとなっている。扇をかざした那須野狐の姿からは、美女に化けては非道を繰り返すという妖艶な雰囲気が醸し出されている。
 はめ込み絵は、栃木県を題材にした河鍋暁斎の作で、詳細は不明だが、笹を加工する女と三味線を弾く女たちが生き生きと描かれている。

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