尾上菊五郎の義経(北海道)

法量(幅)㎜504
法量(高さ)㎜358
公開解説 描かれているのは、五代目尾上菊五郎演じる義経。演目の詳細は不明であるが、はめ込み絵の縁に、「開拓シ義経エぞ下り」と演目名のようなものが記されている。
 明治2年(1869)8月の太政官布告によって、それまで使われていた「蝦夷が島」「蝦夷地」などの呼称が改められ、「北海道」という新名称がつけられた。名付けたのは幕末の探検家・松浦武四郎といわれている。北海道庁が設置され、北海道全体で一つの行政区域となっていくのは、押絵行灯奉納より少し先の明治19年のことである。しかし、「開拓使」という響きや桐板に書かれた「北海道」の文字から、この押絵行灯を見た人々は明治という新時代を感じ取ったのではないだろうか。
 はめ込み絵は川端玉章によるもので、アイヌの民族衣装を着た二人の男が、浜辺で沖から近づいてくる船に驚いている様子が描かれている。船の帆には、源氏を表す笹竜胆の紋が入っており、押絵の義経と関連付けられた絵となっている。

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