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『小説花籠』

法量(幅)㎜124
法量(高さ)㎜181
和暦明治22年
主な材質
解説関宿ゆかりの小説家・嵯峨の屋おむろ関係資料。明治22年発行。奈良嘉十郎編集・発行の小説集。画・渡辺省亭、水野年方。美妙斎主人「胡蝶」、嵯峨のやおむろ「初恋」、春の屋主人「細君」、忍月居士「因果」、幸堂得知「当世俳優修行」の5編を収める。「初恋」は64歳となった”自分”が14歳の頃の初恋を語る設定で、舞台となる城下町は嵯峨の屋が幼少期を過ごした関宿とされている。作中に「関宿」の文字はないが、「境駅の此方の渡場」や「長井戸の森」など、近隣の地名が出てくる。
嵯峨の屋おむろ(1863-1947)、本名・矢崎鎮四郎。別号に嵯峨の山人、北邙山人、探美、潮外、孤村、笛仙子などがある。文久三年(1863)、江戸詰めであった関宿藩士・矢崎鉀八郎勝則の次男として日本橋箱崎新堀で生まれた。生後間もなく母や兄弟とともに関宿に移り、7歳まで関宿で過ごした。明治19年(1886)、24歳で坪内逍遥の玄関番として寄寓し、嵯峨の屋おむろの号を与えられる。明治22年、「初恋」や「くされ玉子」を雑誌『都の花』に発表して文壇での名声を得、一時は二葉亭四迷や山田美妙、尾崎紅葉とも並び称された。昭和22年(1947)、千葉県市原郡牛久町(現・市原市)で没。墓所は豊島区の雑司ヶ谷墓地。矢崎家と関宿藩の関係については杉崎俊夫『嵯峨の屋おむろ研究』に詳しい。

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