「白兎駅」
資料ID | 5517 |
---|---|
作者 | 菊地隆知 |
制作年 | 1997 |
額寸法(縦) | 327.00 |
額寸法(横) | 265.00 |
単位 | mm |
公開解説 | 六月のなかば、長井駅より下りに乗る。下りに乗るのは暫く振りである。そして「白兎駅」に降りるのも初めてである。長井駅発、途中羽前成田駅に止まり、白兎駅に着く。長井より約八分で着く所である。乗車賃は往復で五〇〇円であった。 着いてすぐ、長井の街中では感じられない、展望の利くからっとした広い所に立ったのである。前に通った余目町の南野駅が似ているようだ。遠く北に鳥海山が立っている。からっと広い所である。庄内平野のど真中である。それはそれとしても長井に初めての駅があったのが不思議なことである。県内一周して終わる頃、いい駅を残しておいたような気がする。 白兎は地名にある「葉山大権現の道案内を務めたのが白ウサギ」という言い伝えがある所である。葉山登山口にこの地区の方々の力で作られた「森林公園」を訪れてみた。駅より北に少し歩くと踏切があるが左に折れ山の方に向かって真っ直ぐ行くと公園に着く。初め田圃、道細くなって畑、すぐ杉林がずらっと一本道、全くの森林浴が続く。杉林の中に公園がある。車一台の巾の道である。 そこに多目的広場、その西側に木製遊具のある子供広場、葉山冒険の家、兎夢創観(とむそうかん)と名付けられた木造二階建てのりっぱなバンガローがある。側に煮たきの出来る炊事場、トイレ、キャンプ場、広場の東に水車小屋がある。広場の北に展望台、遊歩道、あずまやなど。五年前の新聞に「地区の知恵、技術力を結集して完成させた葉山森林公園の一部」の写真を見た。炊事場の東に池があり噴水が出ておった。今も噴水がある。何十年も経つ杉の林の中の公園に芳文の読者をさそってあげたいと今も思う。「緑のシンホニー」を聞きながら森林浴を満喫できると新聞はすゝめておったようである。 訪れた七月少し暑い日、広場の角でテントを高く張り十余名の青年が利用しておった。新聞の地区長さんの話をかりたい「もともと地区民が協力して山や、自然を守ってきた。共通の目的があれば盛り上がる。森林公園では関係機関から、多くの助成を受けたが、白兎の心意気も示すことができた。緑豊かな自然は、健康と明日の活力源、地域以外の人たちにも大いに利用して欲しい」と。 駅の丸い太い台の上に「白清」なる兎様が座ってござる。施主長谷部利彦と地区長さんの名があった。開駅記念の写真、丸い時計、額が三枚花と風景、皆様、白兎駅にも寄って長井の山葉山をみて下さい。 【芳文215号】 |
公開解説引用 | 【芳文215号】 |