解説 | スウェーデン陶芸は、グスタフスベリ製陶所を主な拠点とし、アートディレクター、ウィルヘルム・コーゲ(1889-1960)の登場を以て始まる。彼によって方向づけられたスウェーデンの陶芸は、モリスの理想を陶磁器の分野で実現し今日に至らしめた。その後継者スティーグ・リンドベリ(1916-1982)は個人作家陶芸の祖であるとされる。その後、製陶所とは別に独自に工房を持って制作し作品を発表するスタジオ・ポター、ペルション=メリーンが登場する。彼女は1951年に生まれ故郷のマルモにて独立し工房を設立する。 作品は工房制作の日常使いのための食器、及びあくまでも実用を主目的とした1品もの(unique piece)である。土はデンマークから入手し、電気窯にて1250度焼成、釉薬は明灰色、藁色、黒を使用。手がけたのはティーポット、カップ、鉢、皿、瓶、器、水指しなど身近な器類ばかりである。それら簡素にして極めて個性的な彼女の器は、北欧の大衆の強い支持を得て今日に至る。それらは直截で力強く、実用性と耐久性を兼ね備えた道具でありながら、品格をかもし出している。本作品は、彼女の工房開設当時の少量生産品の貴重な作例である。 |
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