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釉下彩菖蒲鯉図花瓶
タイトル(よみ) | ゆうかさいしょうぶこいずかびん |
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作家 | 加藤友太郎 Kato Tomotaro |
制作年 | 明治時代後期 |
寸法 | 55.5×30.0×30.0cm |
員数 | 1 |
解説 | 加藤友太郎は尾張瀬戸の陶工、加藤与八の二男として生まれる。明治7年、同じ瀬戸出身の井上良齋を頼り上京して修業。その後、山下門勧業寮の製陶試験伝習所に学ぶ。ここで納富介次郎や河原忠次郎、ゴットフリート・ワグネルらの指導を受け、江戸川製陶所に入り工場長を務める。明治15年には地質調査所付属陶器試験所からワグネルが作った欧風窯を譲り受け、「友玉園」と命名して独立。自らは「陶壽」と号す。ワグネルらとの交友を通じて西洋の陶磁技法を修得し、日本の窯業技術を様々な面から改良進展させる功績を残した。 若い頃からワグネルに師事して釉下彩と呼ばれる新技術を学ぶ。明治16年頃から本格的に取り組みはじめた釉下彩の研究は優れた成果を生み、それまでは困難であった朱や黄色、紫色を焼出することに成功。「陶寿紅」と呼ばれる赤色の顔料も開発して、鮮やかな彩画を施した作品を多く残した。 明治期を通じて内外の各博覧会や共進会、展覧会に出品し、数多くの受賞を重ねた。 本作品は形も端正で、しかも友太郎作品としてはとりわけ大きい作品である。釉下には紫や黄が使われ、彼の釉下彩の研究成果が、菖蒲の花の蕾や花弁の筋に認められる。また「陶寿紅」と思われる本焼で赤を出す技術が朱の鯉に使われている。 菖蒲の白い花は盛り上げで表され、鯉の表現も黒い鯉は描線で、朱の鯉はレリーフで表されるなど、細部にわたり友太郎の技術と表現がふんだんに取り入れられている。 |