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白の連想1990

タイトル(よみ)しろのれんそう
作家板橋廣美 Itabashi Hiromi
制作年1990年
寸法60.0×32.0×17.5cm
員数1
解説 板橋廣美は新たな磁器の表現に挑み続け国内外で評価されてきた作家である。1980年代に「白の連想」と題するシリーズによって磁器の白さときめ細かな質感を際立たせる作品を発表し注目を集める。あらゆる形象の基本形は球体であると考える板橋は、専ら鋳込成形を採用し、人体を思わせるような独特の有機的フォルムを磁器によって形成する。また、磁器という素材そのもの魅力を顕わにしようという探求のなかで彼は、磁器に異素材を対比させる手法を見出した。金属、木、ワイヤー或いはシャモットなどを磁器に対置させ、硬さと柔らかさ、堅牢さと脆さ、重さと軽さといった素材の特性に、直線と曲線、緊張と弛緩などの造形的対比を重ね合わせ、それらの対立をひとつの作品のなかで統一させる。
 本作品において板橋は、軽やかで優美な白い磁器のフォルムと、ボルトとナットで組まれた鉄板とを対峙させている。相異なる二つのフォルムの合体によって固有のハーモニーとテンションが生み出され、両者不可分の関係が構築されている。また本作品の磁器のフォルムから、90年以降の彼の展開即ち「重力内無重力」シリーズのテーマ「重力」への関心が窺われる。本作品は板橋の「白の連想」シリーズの中でもとりわけ彼の制作姿勢の原点を十全に表す代表作として位置づけることができる。

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