/3

黄地紅彩蜂葡萄文角皿

タイトル(よみ)おうじこうさいはちぶどうもんかくざら
作家加藤土師萌 Kato Hajime
制作年1954年頃
寸法4.5×19.5×19.5cm
員数1
解説 加藤土師萌は色絵磁器で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されているが、色絵以外にも金欄手、辰砂、影青、織部、均窯、古瀬戸、釉裏金彩などのあらゆる技法を習得し、幅広い制作を行った作家である。
 14歳で瀬戸の千峯園に画工として入所して以来、陶磁器の図案家として頭角を表していた土師萌であったが、日吉に築窯したのちには、瀬戸・多治見という陶磁器の生産地で習得した技術や原料の豊富な知識をもとに、中国や日本の古い陶磁器や陶片などを参考として制作活動を展開する。とりわけ、深く傾倒した中国明時代嘉靖年間(1522-1566)の色絵磁器については、黄地紅彩や萌葱金襴手などの技法を解明して高い評価を確立した。 黄地紅彩は中国明時代の嘉靖年間、上絵付技術が最も高度に発達した時期に完成した技法である。大変難しい既に絶えた技法とされていたが、土師萌は長年の研究の結果、この技法をついに完成させた。技法としては黄釉の上に赤絵具で文様を描くものだが、黄や緑などのガラス質の釉上に赤絵具を塗り同時に焼成すると、赤は黄や緑に食われて失われてしまう。そのため、まず赤絵具の焼き付けよりも高い温度で黄釉を焼き、その上に赤で文様を描いて黄釉より低い温度で焼き付けることが必要となる。本作品は、この中国陶磁の技術と土師萌ならではの意匠が結びつき、新たな独自の作品となって完成されている。

PageTop