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作家 | 兼田昌尚 Kaneta Masanao |
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制作年 | 1998年(平成10) |
寸法 | 66.5×63.5×39.0cm |
員数 | 1 |
解説 | 兼田昌尚は、茶陶を中心とする萩にあって、近年専らロクロを用いず「刳貫(くりぬき)」の技法によって意欲的な造形に取り組む現代陶芸家である。兼田はロクロの使い手であり、かつてその技倆によって入選を重ねたが、学生時代に専攻した彫刻による造形思考を実践するために、刳貫という手法を選んだ。刳貫は萩でも置物や香合などの小物の製作技法として古くからあったが、兼田はその技法の可能性を茶碗や花器にまで広げたということである。さらに兼田の表現は用と非用の境界にあって、ひとつの造形作品であることを主張してきていると思われる。それはその造形がロクロでは得られない自由とゆたかさを手にしたことによるのである。 本作品も刳貫の手法によるもので、その彫刻的な造形思考がよくあらわれたものである。彫り、削り、叩くという豪快な技法によって成形されたものだが、きわめて洗練された形態を示し、この作家の現代的な感覚をうかがうことができる。なお同様の作例はこれまで「刳貫花器」と命名されていたが、そのタイトルは採られず、用と非用の境界への自覚を示している。 |