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鉄絵竹林月夜図角皿

タイトル(よみ)てつえちくりんげつやずかくざら
作家富本憲吉 Tomimoto Kenkichi
制作年1937年
寸法2.2×15.0×15.0cm
員数1
解説 富本は妥協を許さぬ確固たる陶の創造を以て近代日本の創作陶芸を確立した。その50年におよぶ作陶活動の根底に一貫しているのは、自らの個性を表現するため、制作の端緒から主体的にフォルムや模様を生み出していくという理念であった。
 本作品の図「竹林月夜」は富本の創作模様の代名詞ともいえるものである。安堵村の工房近くでリーチと共にスケッチした風景がもとになっており、1916年(大正5年)頃に成立した模様であるとされる。富本自ら「模様より模様をつくるべからず:この句のためにわれは暑き日、寒き夕暮れ、大和川のほとりを東に西に歩みつかれたるを記憶す」と述べている通り、故郷の風景を活写して模様と成した富本の創作の基本精神を表すものである。また富本は「この竹林月夜を私の思う模様に消化しきってから今日まで幾千個の皿、幾百の壺、その他絵として描いてきた」とも述べ、量産品を含めて、「竹林月夜」は生涯を通じて富本が創作模様として用い続けたものである。そのほとんどが呉須の染付または鉄描銅彩であるなか、 本作品は鉄絵で、側面にはおおらかな線で縞模様が入れられ色が施されている角皿である。富本の模様に対する多様なアプローチを示す極めて貴重な作であるといえよう。
 また当館収蔵作品「色絵金銀彩四弁花模様飾壷」の華麗さの対極に位置する本作品は、富本のもう一面、即ち大衆の生活に資するため、廉価にて真の美を世に送り続けた制作姿勢を端的に表している。

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