Q.P
タイトル(よみ) | きゅーぴー |
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作家 | 林茂樹 Hayashi Shigeki |
制作年 | 2006年 |
寸法 | 各 33.0×38.0×33.0cm |
員数 | 3 |
解説 | 林は1972年土岐市に生まれた。大学卒業後多治見工業高校の専攻科に進学し、やきものを基礎から学んだが、様々なやきものの技法の中でも、正確な形態の追求と量産が可能な石膏型に林は魅力を感じ現在まで鋳込みによる制作を続けている。 やはり鋳込みの技法による《Q.P.》は、幼児を月から搬送する《KAGUYA-SYSTEM》に続く、幼児とスペーススーツをモティーフとする作品である。陶磁器独特の釉肌による光沢は、スペーススーツなどの科学技術がもたらした素材の表現に相応しく無機質な光を放っている。一方、幼児の肌は19世紀のアンティーク・ドールであるビスクドールの技法を参照した無釉の磁器の焼き締めで、視覚的には人肌に近い質感をもっている。釉肌の無機的な光沢も、無釉の人肌の肌理も、いずれも陶芸の技法によって可能なのである。ここに、窯変や土味などとは別の、陶芸のアドヴァンテージがあり、林が陶という技法を選択した決定的な根拠がある。また陶芸か現代美術かという二者択一も林にとって意味をもたない。陶の技法におけるすぐれた可塑性や豊かな可飾に依拠しながら、林は「オタク文化、サブカルチュアー、ガンダム世代、ジャパニメーション等々」、林の言う「今僕が含められている世代の日本文化」を対象化することをテーマのひとつとしているのである。鋳込み成形による陶技とともに、その時代に対する感度が、林を陶芸の新しい世代を代表する存在のひとりとしている。 |