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Fresh-eating Plant

タイトル(よみ)ふれっしゅいーてぃんぐ ぷらんと
作家重松あゆみ Shigematsu Ayumi
制作年2003年
寸法75.0×31.0×27.5㎝
員数1
解説重松は八木一夫の影響下で作陶を始め、黒陶に彩色したもの、また黒を含む彩陶による平面的空間構成を経て、1991年から「骨の耳」と題する作品群の発表を起点に、一貫したテーマと手法によって独自の世界を着実に築き上げてきた。師・八木一夫と同じく、焼き物特有の「味」を嫌い、土の質感、色を奪い取るかのように研磨された表面は、作品を彼女の形への追及を純粋に示す造形物に作り上げている。
 五感を超えた感覚で世界を読みとろうとする重松は、他者に「体の芯の骨で振動を感じ取るような感触で、作品と出会ってほしい」と考えている。信楽の土を手びねりによって毎日少しずつ積み上げて成形した後、色化粧して最も重要な磨きの作業に入る。研磨は黒陶以来、重松にとって欠かせぬ手法で、彼女は磨くことによってしか出せない触覚的な表情を追求している。研磨へのこだわりは92年ごろから明確になり、御浜の石を研磨用の石と定めて現在に至っている。このように重松は手びねりと色化粧の制作プロセスにおいて、触覚的表現を極めて深化させて自己の内的イメージを作品に定着している。
 制作作業上の触感を重視し、触覚的表現を追求する重松の陶の造形は、無機物と有機物の両性を合わせもつ鮮烈な造形が詩情豊かな色彩をまとうといった極めて特異な作品として結実している。色化粧による新たな表現を拓いた点を含め、重松作品が内包する現代的意義は大きい。
 当館がすでに所蔵する「骨の耳’92-14」(1992)に本作品を加えることにより、その後およそ10年間にわたって取り組んできた重松の造形世界のひろがりを示すことができる。

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