時を経て

タイトル(よみ)ときをへて
作品名(原題)THROUGH TIME
作家マニ-タ=エリザベス・キーフト Manita=Elisabeth Kieft
制作年1992年
員数1
解説 オランダの現代陶芸作家、マニータ=エリザベス・キーフトは、オランダ南部のデン・ボッシュ(ス・ヘルトーヘンボッシュ)を拠点に活動している。1985年にデン・ボッシュの美術大学を、1994年にアイントホーフェンの美術大学を卒業し、さらに2001年にアムステルダム美術アカデミーの大学院修士課程を修了した。1980年代より作家活動を展開し、国内各地で作品を発表するとともに、イタリア、日本など国外の展覧会にも出品している。
 キーフトの作風は、基本的には伝統に基づく革新と形容できる。多くの作品は日常的な実用品でありながら、形などの点で奇妙な所がある。一つの作品の中に別種の器を組み合わせ、その組み合せが普通でない。あるいは、伝統的な文様を幾種か用いながら、慣習的でない仕方でそれらを取り合わせる。そのため、作品は一般的な日用品ではなく、目新しい特殊なものとして、好奇心や注視を誘うことになる。彼女はまた、非実用的なオブジェの作品も、同様の作風で手がけている。
 この作品では、伝統的なカップの形と円筒形が組み合わされている。作者によれば、その形とイメージは約束事のやり直し(re-coding)をもたらし、過去の約束事では説明できず、その解釈には新しい文脈が必要となる。挑発的なスタイルで、既成概念を暗に批判する表現を目指しているという。
 制作方法については、カップの形と円筒形を石膏で作り、それらを幾つかに切り分け、切り分けたパーツを組み合わせている。その形に対して石膏型を作り、スリップ状の陶土を流し込んで成形し、780℃で焼成。その表面には、既成のイメージ(ヨーロッパの昔の帆船の絵や、人物像)を転写している。
 本作品は1992年の第3回国際陶磁器フェスティバル美濃における、陶磁器デザイン部門の審査員特別賞受賞作品である。

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