略歴・解説
幕末、荒浜の廻船業者。3代目牧口庄三郎は困苦に耐えつつ一攫千金の夢を実現する。天保8年(1837)33歳から、北海道江差の鰊が江戸では5倍の高値で売買されていることや、荒浜の鰊網や越後米は評価が高いことを耳にし、弁財船(北前船)数隻を入手して、豊漁で賑わった江差に運んだ。そして江差の海産物を積んで新潟や福井県小浜や大阪で売り、帰路は関西方面で呉服反物・古着・酒・塩などを積んできた。このように交易を明治維新まで35年間つづけ富を築いた。与板藩に献金・貸付をし、蔵米の入札・輸送を請け負った。晩年は荒浜の飛砂による道路埋没を憂い、植松の夢を息子に託し、孫の代にはようやく立派な緑の林に変わった。