いのち、裁判と法  比較法の新たな潮流  滝沢正先生古稀記念論文集  

並列タイトル  
請求記号00.03/Y16
著者名矢島基美(編集代表)、 小林真紀(編集代表)
著者一覧奥田純一郎、服部篤美、永水裕子、本田まり、佐藤亨、門広乃里子、福井清貴、岩田太、髙作正博、荒井真、松本尚子、西連寺隆行、洪恵子、岩石順子、土屋志穂
目次  第1部 生と死

生命倫理における人間像──物語としての人生 〈奥田純一郎〉  2
  I はじめに  2
  II 物語的自己同一性──人間の多層性を束ねるリクールの「自己の解釈学」  5
  III 物語とは?──ドゥオーキンとの比較:自己の中の輻輳・緊張 11
  IV 結 語  16

生殖補助医療における望まない子の出産・出生責任──アメリカ、ニュー・ヨーク州における二つの判決から 〈服部篤美〉  17
  I はじめに 17
  II ニュー・ヨーク州での二つの判決──事実の概要と判決要旨  19
   1 Paretta判決──生殖補助医療により望まない障害児が出生した事例  19
   2 Andrews判決──生殖補助医療により望まない健常児が出生した事例  22
  III 検 討  25
   1 2つの判決  25
   2 州における従来型「望まない子の出産・出生」訴訟  26
   3 生殖補助医療における「望まない子の出産・出生」訴訟事案の特徴  29
   4 若干の検討  31
  IV 結びにかえて──これからの課題 35

ニュー・ヨーク州における同意能力を欠く患者の生命維持治療に関する決定について──制定法の歴史とその背景にあるもの 〈永水裕子〉  37
  I はじめに 37
  II 「家族による医療ケア決定法」の制定へ  38
   1 生命維持治療拒否権について  38
   2 ニュー・ヨーク州の先例とその背景にある考え方  40
   3 ニュー・ヨーク州生命と法に関する特別委員会報告書「他者が決定しなければならない場合  同意能力のない患者のために決定すること」(1992)  44
   4 「家族による医療ケア決定法」が制定されるまでの道のり  48
   5 家族による医療ケア決定法  51
  III おわりに  57

フランスにおける終末期医療と法──意思表示できない患者に対する治療の中止・差し控え 〈小林真紀〉  58
  I はじめに 58
  II 終末期における患者の権利の保障  60
   1 レオネッティ法による枠組み  60
   2 顕在化した問題  63
  III 新たな解決策の模索  71
   1 制定の背景と経緯  71
   2 クレス - レオネッティ法の概要  72
  IV おわりに  75

フランスにおける生殖補助医療と法 〈本田まり〉  78
  I はじめに  78
  II 生殖補助医療に関する法制度  80
   1 実施(技術利用)要件  80
   2 受精卵着床前遺伝子診断  82
   3 研 究  83
   4 禁止される行為  85
  III 近時の動向──第三者が関わる生殖を中心として  87
   1 原 則  87
   2 配偶子提供および自己保存  89
   3 代理懐胎  90
  IV わが国における状況  93
  V おわりに  94

着床前診断を巡るドイツの10年と胚保護法新3a条 〈佐藤 亨〉  96
  I はじめに  96
  II 着床前診断の実施から胚保護法の改正まで  98
  III 胚保護法新3a条の内容の検討  104
   1 3a条1項について  106
   2 3a条2項1文について  108
   3 3a条2項2文について  111
  IV おわりに  113

遺言の撤回と被相続人の意思の探求──破毀院判決を手がかりとして 〈門広乃里子〉  114
  I はじめに  114
  II 平成25年判決について──遺言解釈と撤回された遺言  116
   1 事実関係と判決要旨  116
   2 遺言解釈と撤回された遺言  118
  III 2014年破毀院判決について──果実の持戻しと被相続人の無償処分意思  119
   1 事実関係と判決要旨  119
   2 果実の持戻しと無償処分意思  121
  IV 考 察  125
  V むすびに  126

EU国際相続法における当事者自治の原則  〈福井清貴〉  128
  I 序 文  128
  II EU相続規則の成立とその内容  129
   1 沿 革  129
   2 条 文  131
   3 EU相続規則と草案の内容  132
  III 量的制限をめぐる議論   139
   1 国籍国法以外の法の選択  139
   2 小 括  143
  IV 結 語  144

  
  第2部 裁判と法

人道的な処刑と合衆国最高裁──処刑失敗をめぐる論議からみえるもの 〈岩田 太〉  148
  I はじめに──近年の死刑をめぐる状況  148
  II 合衆国における処刑のあり方と裁判所による規制  151
   1 死刑に対する合衆国最高裁の規制概説  151
   2 処刑の残酷性と合衆国最高裁の規制  152
   3 近年の最高裁と薬殺刑──Baze判決からGlossip判決へ  154
  III 処刑失敗をめぐるナラティブ──SaratとDennoの議論から  161
  IV 結びに代えて  164
   1 合衆国における死刑をめぐる公けの議論の活発さ  164
   2 死刑をめぐる運用の困難さ・死刑の特殊性  167

フランス法における「結社の自由」の制約原理──「特殊性の原理」の意義と射程 〈髙作正博〉  169
  I 序──結社の自由の制約原理としての「目的」  169
  II 「特殊性の原理」の概念  171
   1 原理の概念・基礎・性質  171
   2 リペールの公法規範説  174
   3 ミシューの公法・私法規範説  176
  III 「特殊性の原理」の適用  178
   1 原理違反の場合の制裁内容  178
   2 国務院による特殊性の原理の厳格な適用  180
   3 破毀院による特殊性の原理の柔軟な適用  184
  IV 結──内在的制約としての「目的」  187

フランスにおける合憲性統制の新段階 〈矢島基美〉  188
  I はじめに  188
  II 憲法院付託権拡大の試み  190
   1 1974年憲法改正  190
   2 1990年憲法改正案  192
   3 1993年憲法改正案  194
  III 2008年憲法改正による成功  195
   1 QPC制度導入の経緯  195
   2 QPC制度の手続  198
   3 成功の要因  199
  IV 事後的な合憲性審査制度の運用とその影響  202
   1 QPC制度運用の実際  202
   2 QPC制度の導入にともなう問題ないし影響  204
  V むすびに代えて  206

ナチス期および戦後期におけるドイツの弁護士政策 〈荒井 真〉 208
  I はじめに  208
  II 自由職としての弁護士の誕生  209
  III 弁護士認可制限の導入  210
  IV ユダヤ人弁護士の排除  215
  V 他分野からの参入者の排除  220
  VI 追放者(Vertriebene)および避難民(Fl)の排除  221
  VII 女性弁護士の排除  224
  VIII 元ナチス関係者の再認可  225
  IX おわりに  227

比較法におけるミクロ史の視点──19世紀末日独の調停を題材に 〈松本尚子〉  229
  I はじめに  229
   1 テーマと問題関心  229M
   2 方法論上の特徴  230
  II 比較の視点をどこにおくか  231
   1 「日本人の法意識」論からみた調停  231
   2 ミクロ史・日常史の視点──「司法利用」と比較司法史  234
  III 比較の基盤となるファクター ──規範的枠組みと統計データ  237
   1 プロイセン勧解人制度  237
   2 日本の勧解制度  239
   3 小 括  240
  IV ミクロ史の視点──利用者の視点からみた調停比較  241
   1 勧解人記録から読み取れること  241
   2 明治期勧解研究から読み取れること  244
  V むすびにかえて  247

EU先決裁定制度における先決問題付託義務違反と公正な裁判を受ける権利──欧州人権条約6条の観点から 〈西連寺隆行〉  249
  I 序  249
  II EUの先決裁定制度  250
   1 先決問題付託義務  250
   2 訴訟当事者の地位  252
   3 小 括  253
  III 欧州人権条約6条適合性審査  253
   1 欧州人権条約6条適合性審査の枠組み  253
   2 付託拒否理由の審査  259
   3 違反認定時の救済  263
   4 考察──理由付け審査の背景  263
  IV 結 語  265

クルツ・バット引渡請求事件(英国)の国際法上の意義について 〈洪 恵子〉  267
  I はじめに  267
  II クルツ・バット引渡請求事件の概要  270
   1 事実背景  270
   2 高等裁判所におけるバットの主張と裁判所の結論  271
  III 特別使節の免除  272
   1 特別使節に関する国際法  272
   2 特別使節として認められるための要件  273
   3 裁判所と行政府の役割分担  274
  IV 身分による免除を享有できる範囲  277
  V 刑事管轄権からの事項的免除  279
   1 事項的免除の根拠と裁判所の判断  279
   2 事項的免除に関する本件の意義  281
  VI おわりに  284

国際司法裁判所における「法の一般原則」への依拠──クリーン・ハンズ原則の可能性 〈岩石順子〉  285
  I はじめに  285
  II 「法の一般原則」としてのクリーン・ハンズ原則  287
   1 クリーン・ハンズ原則の意味と機能  287
   2 国際法上の議論  288
  III 近年の国際司法裁判所におけるクリーン・ハンズ原則への依拠  293
   1 クリーン・ハンズ原則への依拠例  293
   2 原則への依拠と裁判における紛争の個別化  299
  IV おわりに  301

個人の国際法上の権利と国際司法裁判所 〈土屋志穂〉  303
  I はじめに  303
  II 国際司法裁判所における個人と外交的保護  307
  III ディアロ事件における人権侵害に対する外交的保護  311
  IV おわりに  317

滝沢正先生 略歴  319
滝沢正先生 主要著作目録  322
出版者三省堂
発行日2017.3
ISBN9784385323152
紹介文(引用)滝沢正教授の古稀を祝して捧げられる論文集。滝沢教授の主要研究テーマであるフランス法・比較法の観点から、生と死をめぐる法的問題と裁判と法をめぐる諸問題について、学恩を受けた気鋭の学者が執筆した。
Neo・資料固有番号 (バーコード)1000258
現在の配架状態配架

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