JJ199800001000_000000_001T, 0000/00/00撮影, Public Domain

  • 画像切り替えサムネイル画像 その1

  • 画像切り替えサムネイル画像 その2

紅葉山水

作家名菱田春草 HISHIDA Shunso
制作年1908年頃
技法、素材絹本着色
寸法119.7×50.5
分野日本画(日本)
所蔵作品登録番号JJ199800001000
解説春草が挑戦した革新的な描法である「朦朧体」は、色面のぼかしを多用するという特質から光の拡散や湿潤な空気といったものを表現するには適していたため、朝夕の情景や水辺の情景が好んで取り上げられた。しかしその一方で、例えば大きな岩の立体感や実在感を表現するには必ずしも適していなかった。彼はその弱点克服のための一つの工夫として、点描風の筆触を用いることを試みるようになった。この作品はその代表的な作例といえるもので、滝壷の波立つ水面の様は朦朧体の特徴であるぼかしを用いて表現し、滝が落ちる大きな岩肌は細かな筆触と墨の濃淡を巧みに重ねて、岩壁の立体感や実在感を表現している。そこに紅葉した樹を入念に描いて、確かな秋の風景を描き出すことに成功している。春草が完成させた絵画表現の一端を示す重要な作例である。

PageTop