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コンポジション

作家名アントニ・タピエス Antoni TÀPIES
制作年1977年
技法、素材ミクストメディア、板
寸法130.0×162.0
分野絵画(海外)
所蔵作品登録番号FO199100006000
解説幾層にも塗り重ねられた色面の最上層には、砂が茶褐色に塗り込められてざらざらした絵肌を見せ、四隅は表面を削り取られて下層の橙色が顔を出す。また、画面上部の白い色面には、引っ掻き線が刻印されている。落書きが自己の存在を永遠に記録しようとする人間の本能的な行為だとすれば、この引っ掻き線もまた作家自身の存在の証といえる。幾世代にもわたる落書きや風化作用によって形成されたカタロルーニャの壁面のテクスチャー(肌理)は、タピエスの芸術の出発点であった。そして彼は砂などの素材の物質性を素材そのものによって主張させることによって、リアリティの新たなる概念を確立しようとした。タピエスが40代から一貫して好んで用い続けた十字架形を構図の中心に据え、全体をシンメトリーな画面に統合することで、見る者を詩的で瞑想的な境地へといざなっている。

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