富士山

作家名小松均 KOMATSU Hitoshi
制作年1977年
技法、素材紙本墨画
寸法95.0×367.0
分野日本画(日本)
所蔵作品登録番号JJ198500004000
解説戦後、厳しい世相の中で「日本画滅亡論」がささやかれた時、多くの日本画家たちは自らの方向について思い悩んだ。小松もその一人であり、自身の混迷打破のために洋画研究所に通い、油彩画を手掛けるなどさまざまな試みを行った。1956年に洛北大原に戻り、自給自足の生活の中から自然崇拝にも近い感情を持って、大原の地を中心に諸所の山岳風景を描くようになった。特に郷里の最上川、そしてこの作品のような富士を題材とした墨画の連作は、この作家の地歩を不動なものとした。大自然を前に、自身の視覚に映るものはすべて描き切ろうとする大胆かつ細密な筆致による描法は、この作家の独特な表現である。何よりも重要なことは、彼の歩んできた人生の道のりそのものが表出されていることであろう。上の作品に峻厳な表情を見せる富士と荒々しい動感の雲、下の作品に悠久の時を感じさせる裾野を描いており、動と静の対比の中で霊峰富士の壮大な広がりはあふれんばかりの実在感を持っている。

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