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マドモアゼルM

作家名鬼頭鍋三郎 KITO Nabesaburo
制作年1954年
技法、素材油彩、画布
寸法91.2×72.6
分野絵画(日本)
所蔵作品登録番号JO195500001000
解説コローの作風に惹かれ、堅実で抑制の効いた描写による室内人物像で戦前に既に写実画家としての定評を得ていた鬼頭は、戦中期にはその写実力をかわれて従軍画家として活躍したが、戦後はふたたび室内人物像で再出発した。50歳を過ぎた1950年から始まる〈バレリーナ〉シリーズではその練達の描写力で踊り子の一瞬のしぐさを画面に定着することに成功した。1965年からは世評に名高い〈舞妓〉の連作が始まるが、そこでは舞妓の所作が緻密で硬質な写実によって捉えられている。このふたつのシリーズのあいだに初めて渡欧した鬼頭は、この画家としては珍しい重厚感の風景画を残したが、一方でこの《マドモアゼルM》のように、現地のモデルをその感興の赴くままにすばやい筆致によって多く描いた。そのすばやさゆえに、躍動感が画面にあふれ、モデルの生気がそこなわれることなく定着されている。

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