惜別

作家名安井仲治 YASUI Nakaji
制作年1940年
(プリント2023年)
技法、素材ゼラチンシルバープリント(フェロタイプ)
寸法25.3×20.7
分野写真(日本)
所蔵作品登録番号JF202400024000
解説1937年の日中戦争開戦以降、軍機保護法による撮影場所の制限や写真用品の値上げによって、アマチュア写真家たちの活動は抑制されていった。安井も奉仕として白衣勇士(傷病兵)を撮影するなど、国家総力戦への同調を余儀なくされた。そんななか撮影された本作は、線路沿いで出征兵を見送る女性を被写体としている。列車の内部から撮影したため、ネガの段階では群衆を遠目から捉える構図となっているが、安井はこちらを見てじっと立つ一人の女性だけを切り取って大きく引き伸ばした。背負っているのは赤ん坊だろうか。動く列車からスローシャッターで写したことで、はためく日本国旗のあいだから覗く女性の表情は定かではない。安井は「私は出征したのではありませんが、何か気持にふれるものがありましたので、窓からシヤツターを切りました」と書き残している。

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