作品

作家名安井仲治 YASUI Nakaji
制作年1939年
(プリント2023年)
技法、素材ゼラチンシルバープリント
寸法33.8×43.1
分野写真(日本)
所蔵作品登録番号JF202400023000
解説1930年代後半の日本の写真界では、フランスで発展した前衛芸術運動であるシュルレアリスムの表現を取り入れた新しい写真動向が主潮となりつつあった。安井は早くも1930年代前半に、現場で静物を即興的に配置して撮影することを「半静物」と呼び、出会うはずのないものを出会わせてデペイズマン(異化作用)を狙うシュルレアリスムの手法に通じる実践を開始していた。本作では、ルネサンス風の建築の開口部に3人の女性が配置されてそれぞれ別々の方向を向いており、平凡な風景の中に不自然さや違和感を潜ませるシュルレアリスムの手法が見て取れる。一方で、フリーズや壁面に見られる矩形を入れ子状に配した装飾を模倣するように、横長の画面の中に横長にトリミングした建造物を配することで、幾何学的な構成の画面にもなっている。安井がシュルレアリスムの理論を援用しつつ、構成主義的な表現にも関心を持っていたことがうかがえる作例である。

PageTop