帽子

作家名安井仲治 YASUI Nakaji
制作年1937年
(プリント2023年)
技法、素材ゼラチンシルバープリント
寸法45.8×29.0
分野写真(日本)
所蔵作品登録番号JF202400022000
解説アマチュア写真家であった安井は、いくつかの写真倶楽部に属していたが、倶楽部の主な活動の1つが撮影会である。本作も愛知県美浜町の野間埼灯台へ撮影旅行に行ったときに撮ったものと考えらえる。灯台の階段に帽子を被せた流木を立てかけて撮影しており、このように現場で即興的にモチーフを並べて構成する手法を安井は「半静物」と呼んで、1930年代からの新たな取り組みとして位置付けていた。1930年代の日本の写真界では、欧米の新即物主義やシュルレアリスムを取り入れた「新興写真」が新たな潮流となっており、これに安井も大いに感化され、重ね焼きやフォトモンタージュなどを使った実験的な表現に取り組んだ。一方で、本作のように特定の動向名では括り難い、超現実的な雰囲気を醸しつつ同時に抒情性も感じさせる独自の表現も追求した。

PageTop