村経の図

作家名安井仲治 YASUI Nakaji
制作年1926年
(プリント2024年)
技法、素材ゼラチンシルバープリントにオイルメディウム、油絵具を塗布
寸法25.9×27.2
分野写真(日本)
所蔵作品登録番号JF202400013000
解説1920年代のアマチュア写真家たちのあいだでは、写真を独立した芸術表現として追求する機運が高まっていた。この動向は「芸術写真」と呼ばれ、印画紙上に手作業で顔料を乗せてイメージを仕上げるピグメント印画法を用いたり、不要な部分を印画時に削除したりといった工程によって、絵画的な作品を制作することが主流となっていた。安井も活動初期にはピグメント印画に積極的に取り組んでおり、本作もオリジナルは、ブロムオイルプリントという、印画紙上の銀を油性インクに置き換える技法で制作された。インクの濃淡によって奈良の山村の一角に差す光と影を捉えており、当時その技法の洗練が高く評価され、「第一回日本写真大サロン」の特選三席に選ばれた。なお、オリジナルのプリントは戦禍によって失われたため、本作はプリントした印画紙に油絵具を塗って布で拭き取る「雑巾がけ」と呼ばれる技法によって作製された、モダンプリントである。

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