『ニーベルンゲン』(「ゲルラハ青少年叢書第22巻」)

作家名カール・オットー・チェシュカ Carl Otto CZESCHKA
制作年1908年頃
技法、素材多色木版、紙/書籍
寸法15.1×13.9×1.2
分野版画(海外)
所蔵作品登録番号FP202400001000
解説この本は子供向けの「ニーベルンゲンの歌」の物語で、作家フランツ・カイム(1918-40)のテキストに、チェシュカが挿絵をつけたものである。1909年にオーストリアの学童を対象とした全34巻のシリーズ「ゲルラハ青少年叢書」の第22巻として、ウィーンのゲルラハ&ヴィートリンクより出版された。テキストにはドイツのユーゲントシュティールのデザイナー、オットー・エックマンが考案した「エックマン・タイプファース」と呼ばれる書体が採用されている。本作ではチェシュカのほかの作品同様、ウィーン工房のデザインの特徴である正方形の版型が用いられている。チェシュカの挿画の装飾性と画面構成には錦絵の影響が見られる。特に9ページの大きな翼を広げた2羽の鳥の描き方は、歌川広重《「名所江戸百景」、深川洲崎十万坪》(1857年)から、また30~31ページの帆を広げた船の図は、葛飾北斎《「北斎漫画 七福」隠岐、焚火の社》(1817年)における舳先のみにクローズアップし、船体を画面縁でトリミングしたり、《「北斎漫画 初編」、船》に見られる船体を見開きのページで分割する手法から着想を得たことが分かる。

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