日本武尊宮簀媛命給宝釼授図

作家名名古屋石版舎 Nagoya Sekibansya/蔭山久僲 KAGEYAMA Kyusen
制作年1879(明治12)-1888(明治21)年
技法、素材石版、紙
寸法36.9×48.3
分野版画(日本)
所蔵作品登録番号JP202300001000
解説『日本書紀』によれば、日本武尊(やまとたける)は東征の途中に尾張国へ至った際に尾張国造の娘・宮簀媛命(みやずひめのみこと)を娶り、しばらく逗留した。やがて近江国の伊吹山に荒ぶる神がいると聞いて、草薙剣を宮簀媛命に預けて退治に出かけた。そして伊吹山の神との対決を契機に病身となり、草薙剣を尾張に留めたまま亡くなった。その後、宮簀媛命が剣を熱田の地に祀り、建てたのが熱田神宮だとされる。本作に描かれているのは、伊吹山へ旅立つ前に日本武尊が草薙剣を宮簀媛命に預ける様子。この画題は、当時、絵画や印刷物として盛んに制作された。それは明治政府が天皇を頂点とする近代国家を形成しようとしていた政情にも合致していた。名古屋石版舎を率いた吉田道雄は、出版業に携わりつつ自由民権運動に関わり、印刷メディアを生活の糧としてのみでなく政治活動にも用いていた。印刷メディアが社会や政治と密接に繋がり、当時の表象文化をも動かしていたことが垣間見える。

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