実らずとも

作家名尾野訓大 ONO Kunihiro
制作年2013年(リプリント2022年)
技法、素材写真
寸法122.0×302.7
分野写真(日本)
所蔵作品登録番号JF202200001000
解説2014年に佐久島で開催された「花咲く島」展(佐久島弁天サロン)の出品作(本作は2022年のリプリント)。多くの切り花を給水スポンジに活けて、咲き誇る一番美しい状態から枯れてしまうまでを長時間露光で3週間かけて撮影された。市場に流通する切り花は生殖機能を排除され、人工的に受粉されたものである。その美しさは観賞対象としてのみあり、枯れてしまえばその役割は終わる。作品の背景には、尾野が人は何のために生きるのかという思春期から抱いてきた問いや、生殖、子孫を残すということ以外にも人は目的を持てる、という希望が錯綜する。《実らずとも》という作品タイトルにはそうした意味が込められている。一方、枯れゆく花という主題は、西洋美術史の伝統において死の象徴であることを想起させる。この作品に横たわる「生と死」の主題は、生殖に関わる生物学的、社会的側面も含み、より複雑で現代的な様相を呈している。

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