はいけい ちえこ さま ―土産―

作家名谷澤紗和子 TANIZAWA Sawako
制作年2021年
技法、素材アクリル、紙、アクリル板、解体された家屋の廃材
寸法86.0×88.0×5.0
分野水彩・素描(日本)
所蔵作品登録番号JD202200004000
解説VOCA2022で佳作賞を受賞した本シリーズは、谷澤と同じく切り紙作品を手がけていた高村智恵子からインスピレーションを受けて作られた。高村智恵子は、当時の女性としては珍しい裸体表現に挑戦、新しい女性の生き方を求める『青鞜』にも関わった。しかしながら、夫であり著名な彫刻家・文筆家である高村光太郎の詩歌を通じた病弱で薄幸なイメージが、彼女自身の活動以上に今に至るまで広く流布している。女性の表現活動がしばしば周縁化され、時にパートナーである男性の語りが先行する状況に対し、谷澤は批評的に取り組み、本シリーズでは智恵子と光太郎の関係に思いを馳せつつ、同じ技法を使う女性の表現者として智恵子への共感を示している。谷澤は手紙という形式をとって智恵子に語りかけ、その言葉は「土産」に重ね合わせられる。病床の智恵子に届けられた菓子折のイメージと谷澤の言葉が交差し、智恵子と光太郎、そして谷澤の、互いに向けた言葉と共感、愛情の一端が複雑に絡まり合う。なお、作品に付けられた木製の額は、古い家屋を取り壊す際に出た建材から作られている。古い建材を額として使うことで、昔ながらの家制度が崩壊しつつある事と、今なお家制度に囲われている事が同時に表されている。

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