Cook

作家名川内理香子 KAWAUCHI Rikako
制作年2022年
技法、素材油彩、画布
寸法194.0×259.0
分野絵画(日本)
所蔵作品登録番号JO202200006000
解説川内の制作の原点には、自身の外部にあるものを体内に取り込む食事という行為に対する違和感がある。「食」をめぐる彼女の思索と表現は、文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースの著書『神話論理』との出会いによって、さらなる深まりを見せる。レヴィ=ストロースは食や料理を人類の文化の根源に位置付けており、それは川内が身体的に感じ取っていた世界の在り様と重なるものだった。本作の画面内には「cook(調理する)」、「bake(焼く)」、「raw(生もの)」といった文字が書かれており、『神話論理』の第一部『生のものと火を通したもの』を参照したものと考えられる。さらには心臓や肺といった内臓と、ジャガーやヘビなど動物のモチーフも、同書からインスピレーションを得たようだ。加えて特徴的なのは、絵画表面をペインティングナイフで削り取るように描く手法である。厚く塗った赤や桃色の絵具に刻まれた深い線からは、生き物の臓器とその解体が想起される。モチーフ自体の生命力と、川内の身体の痕跡とが画面上で一致している点が本作の魅力と言える。

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