Untitled

作家名加納光於 KANO Mitsuo
制作年1975年
技法、素材木・金属・胡桃
寸法46.2×29.8×8.6
分野彫刻・立体(日本)
所蔵作品登録番号JS201600027000
解説版画家として出発した加納は、1960年代半ばに亜鉛合金をガスバーナーで焼いたレリーフ状の作品を制作した。この時すでに、加納の表現領域は平面に収まりきらなくなっていた。「元来銅版画家が直面する物質への物理的科学的な関りをいっそう拡大したいという欲求と、立体の側から平面の問題を見つめなおしてみたいという考えがこの時期に重なった」と加納は言う。そして1968年頃から70年代にかけ「オブジェ」(加納の作品の場合は、版画や油彩画の平面作品に対する立体作品を指す)が盛んに制作されるようになった。加納のオブジェの特徴は、ひとつひとつの部品(パーツ)がたんなるガラクタではなく選りすぐられたものでできていること、指物師顔負けの高度な技術によって制作されていること、《アララットの船あるいは空の蜜》のように美術と文学をのジャンルを横断した作品(いわゆる「リーブル・オブジェ」)も制作していることなどがあげられる。制作されたそれらのオブジェの多くは作家の手元にとどめられ、ほとんど人目に触れることはなかった。加納のオブジェが初めてまとまった形で展示公開されたのが、1997年に愛知県美術館のテーマ展として開催された「葡萄弾」であった。この展覧会には10点の《アララットの船あるいは空の蜜》を含む56点が出品された。展覧会後に作家所蔵の43点が寄託され、そのほんどを2016年に受贈した。

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